ウィーンの中心地、ホーフブルク王宮にあるシシィミュージアムは、私の大好きな博物館の一つです♪
ハプスブルク家の歴史を学べる銀器コレクション&皇帝一家の生活を垣間見られる「皇帝の部屋」も併せて見学できるんだよ~
今回はその第1弾!見学コースの最初にある、宮廷銀器コレクションをご紹介します♪
シシィミュージアムって?
ホーフブルク王宮内にある博物館
シシィミュージアム(Sisi Museum)は、ホーフブルク王宮内にある博物館です。
入口はスペイン乗馬学校の向かい側、円形の広場Michaelerplatz側から見て右側にあります。
チケットについて
チケットの値段は以下の通りです。
同じ1枚のチケットで、シシィミュージアムだけでなく、見学コース上にある銀器コレクション&皇帝の部屋も見学できます。
Day Ticket Sisi Museum 6歳~18歳の子ども €9 19歳~25歳の学生 €14 大人 €15
ただし、シシィミュージアムのみを見学する場合はこのチケットでも良いですが、後日シェーンブルン宮殿など、以下に挙げるいずれかの施設を見学する予定がある場合は、シシィチケット(Sisi Ticket Deluxe)を買った方がお得です。
Sisi Ticket Deluxe
≪見学可能な4つの施設≫
・シシィミュージアム(Sisi Museum)
・シェーンブルン宮殿のグランドツアー(Schloss Schönbrunn)
(宮殿内の全部屋を見学可能)
・王宮家具博物館(Möbelmuseum Wien)
・ホーフ宮殿(Schloss Hof)
≪値段≫
6歳~18歳の子ども €23
19歳~25歳の学生 €33
大人 €36
*購入日から1年間有効なので、自分の都合に合わせて見学スケジュールを立てることが可能です。
*ウィーン・シティカードや団体客への割引などもあるので、詳しくは各施設の公式サイトをご覧ください!
チケットは博物館の入口にある売り場でも買えますが、私は事前にネットで購入してから行きました!
ネットで買ってスマホにチケットの画像を保存しておくと、バーコードをゲートでスキャンするだけで、スムーズに入場できるのでオススメです!
ハプスブルク家の歴史を学ぶ 銀器コレクション
歴史を語る膨大な量のお皿たち
音声ガイドを受け取ってゲートを入ると、見学コースの最初に現れるのが宮廷銀器コレクションです。
ちなみに、音声ガイドは日本語があるので安心です!もちろん私も迷わず日本語を選びました笑
足を踏み入れてまず驚くのが、展示されている銀器の量の膨大さです。
野菜を調理する鍋でも、アスパラガス用など(アスパラだけなぜか記憶に残りました笑)種類ごとに専用の鍋があったり、ケーキなどのデザートを作るときに使う様々な形の流し型があったり…。
とても細かく使い分けられており、当時の宮廷の料理がいかに大変で緻密なものであったかを窺い知ることができました。
展示されている銀器コレクションの一部は、今でも国賓の来訪時に、公式のディナーの場などで使用されているそうです。
ここからは、印象に残った展示をいくつかご紹介していきます♪
印象に残った展示をご紹介
国家機密⁈芸術的な畳み方のナプキン
パンを左右の窪みに挟んだユニークな畳み方の「皇帝のナプキン」は、皇帝が臨席する会食の場でのみ使用されたそうです。
その畳み方は、選ばれた担当者にのみ極秘で伝承されてきたんだとか。
口伝えで代々受け継がれているので、選ばれし者以外は知ることができません。
今でも、国王や国家元首の出席する公式の会食では、この形でナプキンがテーブルに置かれているみたいです。
現在畳み方をを知っているのは、担当者2名だけなんだとか!
見ているだけだとそんなに難しくなさそうな気がしてしまいますが(失礼)、そんなに貴重で特別な畳み方なんですね…!
ナプキンの畳み方が国家機密って、ちょっと面白いですよね笑
銀器コレクションの中盤には、こんな美しいナプキンも展示されていました。
これはもうどこから見ても芸術作品!
これが1枚の布を折っただけで作られているなんて、到底信じられません。
すごすぎる…!
緑のリボンが美しい 仏墺友好の証
緑色のリボンの装飾が美しいこちらのコレクションは、フランスのルイ15世から女帝マリア・テレジアに贈られたものです。
多数の犠牲を出したオーストリア継承戦争(1740~1748)をきっかけに、フランスとオーストリアは長らく敵対していました。
その関係を克服し、新たな友好関係を築こうという姿勢の証が、この美しいディナーセットだったそうです。
オーストリア継承戦争って?
1740~1748年に、ハプスブルク家の支配権継承をめぐって起こった戦争です。
イギリスを味方につけたオーストリアVSフランスやスペインなどの支援を受けたプロイセンという構図で争われました。
カール6世の没後、マリア・テレジアがハプスブルク家の領土を受け継いだのですが、これにザクセン公やプロイセンが反発して戦争に発展しました。
戦争の結果、1748年のアーヘンの和約で、シュレジエンをプロイセンに割譲することを条件に、その他の領土に対するマリア・テレジアの継承権は認められることとなりました。
お皿も外交で重要な役割を担っていたんですね!
「世界史で習った~!!」という歴史の一幕に多大な貢献を果たしたお皿を、この目で見ることができて感動しました!
こんなところにもMade in Japan! 日本製の磁器IMARI
膨大な量の銀器コレクションの中には、中国や日本で作られたお皿もありました。
アジアを感じさせるデザインのお皿が、ウィーンの王宮で使われているところを想像すると、なんだか不思議で面白いですね!
日本製の磁器は積出港に因んで、「IMARI(伊万里)」と呼ばれていました。
中国や日本の磁器は、ヨーロッパのものとはデザインが異なり、しばしばその食文化に合わなかったため、銀縁模様や台座などが付け加えられてから使われていたそうです。
実はあんまり残っていない 銀製品
銀製品のコレクションは、実はあんまり多く残っていないそうです。
その理由は以下の2つなんだとか。
理由① 時代遅れなデザインになると、溶かして新しいものに作り替えられていたから
理由② 財政危機の際に、銀貨に変えられていたから
2つ目の理由について、特にナポレオン戦争(1796~1815)の際に、多大な額の軍事費が必要となりました。
その調達のため、オーストリアの銀製品はほとんど全て溶かされ、銀貨に変えられたそうです。
今残っているものの多くは、その後新たに作られたものみたいです。
お皿のコレクションから、国家の戦争と財政の歴史も学ぶことができるなんて、とても興味深いですよね。
青の縁取りがかわいい 英墺友好の証
青い縁取りの可愛らしいこちらのセットは、英国ミントン(Minton)工房で制作されたデザートセットです。
1851年のロンドン万博に出品されたもので、ヴィクトリア女王が買い上げました。
その一部がイギリスとオーストリアの友好の証として、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に贈られました。
こんなに綺麗な状態で残っているのは、宮廷の日常生活の中で一度も使われることがなかったからだそうです。
セットの残りは、ロンドンのバッキンガム宮殿に保管されているそうですよ!
美しい食器のプレゼントは、国と国を繋ぐ大切なコミュニケーション手段だったのですね。
おまけ ある意味印象に残った展示
皇帝夫妻に課せられた謎な慣習「足洗い」
キリスト教の風習で、イースターの週の聖木曜日に「足洗い/洗足式」という儀式があるそうです。
無宗教の私にはちょっとした衝撃だったので「謎」と書いてしまいましたが(ごめんなさい)、今でもキリスト教の大切な儀式の一つのようです。
神聖ローマ帝国の「足洗い」はどんな儀式だったかというと、皇帝が12人のおじいさん、*皇后が12人のおばあさんの足を洗う、というもの。
(*皇后が実際に洗うのは最年長者の足だけで、残りの人は大公妃や侍女が洗っていたそうです。)
このおじいさん・おばあさんは、「ウィーンに住んでいる貧しいお年寄りの中で清潔な人」が選ばれていたんだとか。
音声ガイドのこの説明を聞いたとき、「“貧しくて清潔”って?“清潔”の基準って何??」と心の中で突っ込みました。
そんなぼんやりした基準で選ばれたお年寄りの方々は、王宮に招かれて儀式に出席し、ワインの入った瓶などの贈り物を受け取って帰ったそうです。
きっと一般市民にとっては、夢のような時間だっただろうな…(詳細はよくわからないので、実際は違うのかもしれませんが笑)。
銀器コレクションを通して歴史に触れよう
歴史好きな私には、宮廷銀器コレクションは歴史を語る貴重な展示品をたくさん観ることができて、とても面白かったです!
(この記事の長さと熱量を見ても明らかですよね笑)
歴史に興味が無い方でも、美しい装飾の施された豪華な食器のコレクションは、眺めるだけで楽しめると思います。
ぜひぜひ「ただのお皿じゃん」と見縊らずに、ハプスブルク帝国&オーストリアの長い歴史を学び取ってみてくださいね!
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